【最新FCトレンド|サービス業】なぜ教育関連FCが好調を維持できるのか?理由を解き明かす(2017.5.10)
4月のサービス業フランチャイズに目を引くような大きな動きはなかったが、教育関連フランチャイズに関するニュースは相変わらず賑やかだ。学研やNOVAが新企画を打ち出し、JTBの親子語学留学ツアーは盛況のようだ。
フランチャイズショー2017でも、教育関連フランチャイズの出展数は18となり、昨年、一昨年を上回った。学習塾などの教育関連フランチャイズはその勢いを増しているのだ。
2017年5月4日に総務省がこどもの日を前に統計トピックスを配信し、その中で「我が国の子どもの数」について触れている。
それによると、2017年4月1日現在の子どもの数(15歳未満人口)は、前年に比べ17万人少ない1571万人で、昭和57年から36年連続の減少となり、過去最低となった。少子化の流れが一向に止まらないのだ。
ではなぜ世界に類を見ないような少子化が進行しているにもかかわらず、子どもを対象とする教育関連フランチャイズが好調を維持できるのであろうか。その理由を解き明かしてみたい。
個人塾の衰退
かつてそこら中にあった個人経営の学習塾はその数を減らし続けている。塾長の個人的な経験や資質だけを「売り」にする個人塾の経営は引き続き厳しいだろう。個別指導方式など新しいシステムを取りいれたフランチャイズ学習塾は個人塾を淘汰しながら勢力を拡大しているのである。
ひとりの子どもにかける教育費は増加
少子化は教育関連フランチャイズにとって逆風であることは間違いないが、一方でひとりの子どもにかける教育費は増加傾向だ。子に期待しない親はおらず、親は少子化だからこそ惜しげなく子どもの教育費に金をかけられる。供給サイドから見れば、数量の減少を単価でカバーしている構図だ。
6ポケット
子どもの教育費用を支払うのは子どもの両親だけではない。父親の両親、母親の両親の合計6人がスポンサーだ。日本で最もリッチな世代は高齢者層なのだ。だから子どもの親はたとえ子どもの教育費用が高額であっても負担できる。
インターネットを駆使した新業態の誕生
オンライン双方向学習システムなどこれまでにないインターネットを利用した学習システムを導入するチェーンが続々と登場している。このシステムだと、個別指導塾に比べて月謝を安く抑えることができるだけでなく、塾の生徒は優秀な先生による授業をインターネットを通じて受けられるようになる。人手不足が深刻化する中、大学生のバイト講師集めからも解放される。これまでのフランチャイズ学習塾では対応できなかった難関校受験指導分野にも参入が可能だ。
小学校の英語必修化
2008年度に小学5,6年生を対象に外国語活動として小学校の英語教育は始まった。2011年度に英語が小学5年生から必修となり、今では、小学校での英語教育はすっかり浸透している。英語教育の重要性は誰もが認めるところであり、教育関連フランチャイズに商機を提供している。
ターゲットの低年齢化
教育関連フランチャイズのターゲット層は低年齢化している。ゼロ歳児を対象とする幼児教室、幼児向け英語教室などが典型例だ。ターゲットとする年齢層の拡大は少子化の影響を小さくしている。
新たなニーズの誕生
女性の社会進出を推し進めるためには子育てのための環境整備は不可欠だ。保育園や学童保育の充実は待ったなしの政策課題である。これまでこの分野は主に「公」の守備範囲だったが、拡大するニーズに「公」だけでは対処できなくなっている。教育関連フランチャイズにビジネスチャンスが到来している。