【最新FCトレンド】FC本部業界最大の懸案事項「人手不足対策」を考える
最近のフランチャイズ業界での最大の懸案は、何と言っても人手不足対策です。
そもそもフランチャイズ店は、業務が標準化され、PA(アルバイト・パート)さんでも店が回せる仕組みになっています。そして、PAさんを中心に店の運営をすることが、利益を確保するための前提になっているのです。つまり、必要なPAさんを確保できない店は存続すること自体が難しいといえるでしょう。
特に都市部での人手不足は深刻です。そのため、敢えて好立地の都市部への出店を避け、郊外立地を目指す動きさえあります。例えば東京都内なら、山の手線の内側への新規出店を抑え、都心部から20キロ~30キロほど離れた地域に出店を集中し成果をあげているチェーンがあります。このくらい都心部から離れると、人手不足感はかなり緩和されるといいます。しかも、資質の高いPAさんを集めやすく、時給水準も低めです。さらには、応募してくるPAさんは地元民であることが多く、PAさんに支払う交通費も節約できるとのこと。
とはいえ、せっかく集めたPAさんがすぐに辞めてしまっては元も子もありません。PAさんに長い期間働いてもらい戦力化することが何より大切なのです。そこで、PAさんの定着率向上のための秘策を考えてみました。
1)褒めて育てる
今の若者は、親から叱られたことがない、学校の先生も生徒を叱らないという環境で育っています。ですから、叱られると大きく落ち込んで、叱った人を嫌いになることは普通にあります。叱りたくなる気持ちはわかりますが、頭ごなしに叱っていては定着率が高まるはずがありません。若いPAさん教育の基本は褒めて育てることなのです。
2)早期退職を未然に防ぐ
採用から1~2ヵ月ほど過ぎると櫛の歯が抜けるようにPAさんが辞めていきます。これは、現場で実際に働いてみて、自分なりに抱いていたイメージとのギャップに気づくからです。「職場の仲間と人間関係が良くない」、「店長と合わない」、「思っていたより仕事がきつい」、「給与が安い」など。そうなるとやる気が低下し、退職を考えるようになります。早期退職を減らすためには、働き始めてから2週間~1ヶ月ほどの頃に、オーナーや店長が面談してみるといいでしょう。そして、どんなギャップを感じているのかを聞き出し、ギャップに対する共感や理解を示してあげます。働きぶりや仕事上の「強み(長所)」を認めてあげることも効果的です。こうすれば、かなりの割合で早期退職を食い止めることができます。
3)やる気を引き出す仕組み
おすすめは、店のスタッフに共通の“目標”を持たせることです。“目標”はいろいろで、売上や欠勤の回数、特定の商品の販売個数、など。レジでお客様から「ありがとう」や「ごちそう様」と言ってもらった回数、なんていうのもいいかもしれません。目標を持って働くことは、仕事にハリが生まれます。無目的に時間をお金に代えるだけの仕事より、はるかに仕事が楽しくなります。“目標”を達成した時には、賞品や賞金(高額である必要はない)を出せば、なお効果的です。“目標”を達成できなかったときは、何が問題であったかを全員で考え再チャレンジをさせましょう。
4)評価
これは悩ましいテーマですが避けては通れません。頑張っても評価してもらえないと、頑張ったPAさんは去っていきます。評価基準はいろいろあってもいいのですが、大切なことはわかりやすい基準であることです。例えば、レジ打ちができる、接客用語を使いこなせる、客単価向上の提案ができる、常連客になってもらうためのトークスキルがある、後輩PAを指導できる、など。ただ、これも偏った評価をすると不平不満が増幅します。店のオーナーや店長だけが評価するのではなく、PAさん同士がお互いを評価するという仕組を取り入れてうまくいったケースもあります。スタッフ全員が納得できる基準でPAさんをランク分けし、待遇に反映させましょう。
5)活気のある店
お客さんがたくさん来て忙しいと不機嫌になる方がいますが、こういう方は論外です。「仕事が楽だから店はヒマな方がいい」と考える方は決して多数派ではありません。店が適度に忙しくて活気のある店の方が、職場として魅力的なのです。繁盛していて、お客様が来店した時は明るい笑顔と元気な「いらっしゃいませ」で迎え、利用してくれたお客様に心からの「ありがとうございました」が言える店を作りましょう。PAさんが、「私、この店でバイトしてるの!」と胸を張って言えるような店にすることがポイントです。