日本フランチャイズ研究協会

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失敗しないフランチャイズ選び Part.1

加盟者向けコラム 

2024年05月30日

ろくなノウハウもないのにフランチャイズ展開をしているチェーンはたくさんあります。そんなチェーンに加盟してしまうと、最悪の場合、自己破産や家庭崩壊に追い込まれるかもしれません。

フランチャイズ選びで失敗しないためには、当たり前のことですが、優秀なフランチャイズに加盟することが大切ですね。

では、どうやって優秀なチェーンとダメチェーンを見分けるかですが、これはなかなか難しい。フランチャイズ研究会では、加盟希望者がフランチャイズ選びをする際、本部の何に着目すべきかをまとめた「フランチャイズ本部評価基準」を作りました。この基準を使って本部を評価すると、その優劣を案外簡単に判断することができます。今回は、その内容を簡単に紹介することにしましょう。

 

ポイント①事業運営力

店舗数の増減、チェーンで扱う商品やサービスの競争優位性、商品や食材の供給体制、本部加盟店間情報システムなどを評価します。加盟希望者がフランチャイズ本部を評価する際に最も重要な評価項目になります。

 

ポイント②財務力

財務上の収益性、安全性、成長性を評価します。特に安全性は重要で、本部が倒産すると、加盟者は大変な損害を被ることになります。本部の財務が健全であるということはとても大切です。ただ、一般の方が本部企業の財務分析をすることは簡単なことではないかもしれません。そういう時は、知り合いの税理士さんや商工会議所などに相談するといいでしょう。

 

ポイント③情報公開度

フランチャイズは、本部の立場から見ると、加盟者の資金や人材を活用して事業展開することができるというメリットがあります。その一方で、本部は、一般の企業以上に、経営情報を開示しなければならないというわけです。仮にマイナス情報(例えば撤退店舗情報など)であっても、進んで開示しようとする姿勢であるかどうかをチェックしてください。

 

ポイント④加盟店支援力

研修の充実度、マニュアルの完成度、スーパーバイザーの資質や指導内容・訪問頻度などがポイントとなります。どんなに優れたノウハウを持つチェーンであっても、加盟者を指導したり教えたりするための仕組みがなければ意味がないわけです。

 

ポイント⑤加盟店成功度

優秀なチェーンであれば当然に加盟店も成功しているはずという仮説をもとに設けた評価項目です。契約の更新率、複数店舗オーナー割合などに着目します。契約期間が満了する際、加盟者がそのチェーンに満足していれば契約を更新するはずですよね。同じように、店の業績がよければ、2店舗目、3店舗目を出店しようとする加盟者が現れるはずです。

 

さあ、どうでしょうか。この5項目でフランチャイズ本部を比べればその優劣が概ねわかるでしょう。

ただ、この評価基準を使うためにはいくつか注意点があります。

まず、この評価基準を使うときは複数のフランチャイズを比較するために使用してください。お目当てのチェーンをこの基準に当てはめて評価しようとすると、どうしても評価が恣意的になってしまい、評価する意味がなくなってしまします。

次に、評価項目の中には本部が外部に公開していない情報もあります。

こういう情報をどうやって集めるかということですが、法定開示書面、本部担当者への質問、加盟店訪問などによって収集することになります。つまり、ネット検索などで集めた資料だけでは不十分で、手間暇をかけて情報収集することが必要になります。

 

最後に、本部評価の重要な情報源となるのが法定開示書面です。ところが、本部が加盟希望者に法定開示書面を提示する時期は、契約を交わす前というのが一般的です。したがって、この評価基準を活用できるのは、加盟するチェーンを絞り込み、どのフランチャイズに加盟するかを最終的に判断する時ということになります。

伊藤 恭

シニアコンサルタント

成蹊大学経済学部卒業、イベント会社社長を経てFCコンサルタントとして独立。㈳東京都中小企業診断士協会フランチャイズ研究会会長、日本フランチャイズチェーン協会フランチャイズ相談室相談員等を歴任。豊富なフランチャイズ本部構築実績あり。日本経済新聞社主催のFCショー等での講演、FC専門誌・専門書の執筆多数。

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