海外進出の形態で多い方法とは?海外進出で失敗した例も紹介
海外出店の形態はマスターフランチャイズ契約による直営店展開が多い
過去に当研究会にて取材したチェーンをみますと、ほとんどのケースが、「マスターフランチャイズ契約」となっています。「フランチャイズ方式による海外展開ガイド」にて図解を交えて解説しているので詳しい説明は省きますが、マスターフランチャイズ契約とは、進出先の国において現地本部を作り、日本の本部はその現地本部と契約(マスターフランチャイズ契約)を締結することをいいます。
そして、当研究会の取材した範囲においては、海外現地本部のもとで複数出店するための出店方法は、その現地本部の資力により出店される「直営店」による店舗展開が多いのです。
これは異国の地で他人であるフランチャイズ加盟店に店舗を経営させることの難しさを示していると言えるでしょう。
海外現地本部の作り方
日本の本部が海外現地本部に求めるものとして、以下の事柄を挙げることができます。
- 現地の事情・文化への精通
- ブランド・クオリティ管理
- 投資資金・投資リスクの負担
- 現地法制・トラブルや裁判への対応
これらの事柄をすべて日本の本部が担うことができるのなら、現地本部は日本本部の海外100%子会社として設立すれば良いのでしょうが、それができるのであれば本書を手に取ることもなく、既に海外出店をされていることでしょう。
その他の現地本部の作り方としては、海外現地企業と日本本部との合弁会社を作る方法があります。これは海外現地企業と日本本部の役割分担を決めて両者の強みを上手く発揮できれば成功する確率は高くなります。
海外法制度のチェックも必要
なお、現地本部の会社を設立するにあたっては、進出国によっては、現地企業が51%以上の出資をしなければならないなどの出資率に制限があることや、現地国の従業員を〇人以上雇用しなくてはいけない、などの雇用規制が設けられている場合もあるので、現地の法制度なども十分に理解しておく必要があります。
実際にあった失敗例(>_<)タイ国の出資規制を逃れようとして痛い目に・・・
最後に筆者が見聞きした失敗例をご紹介しましょう。
タイ国での出資規制(外資による50%以上とならないように)に対応するために、日本企業の言いなりになるいわゆる名義株主として現地タイ人を紹介され、そのタイ人に日本企業が出資資金を貸し付け、見かけ上タイ国人による出資比率を51%以上として現地法人を設立したところ、後日、名義株主のタイ人が株主としての権利を主張してきたため、その解決金として多額の支出を強いられたというなんともレベルの低い愚かなお話しです。
なんと、そのタイ人を紹介したのは、タイ現地に居住する日本人コンサルタントであったとのことで、日本企業の担当者が言うには、「日本人だから信用してしまった」とのこと。「日本人を騙すのは、海外現地居住の日本人であることが多い」ようです。
まずは現地で信頼できるパートナー企業と出会うことや信頼できるコンサルタントと巡り会うために、焦らずにしっかりと準備を進めることが大切ですね。