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フランチャイズ加盟のポイントをチェック(個人編)

今回はフランチャイズビジネスを加盟者の立場から考えてみたいと思います。

フランチャイズビジネスにおいて、本部と加盟者は各々独立した事業体であり、契約に基づく共同事業を行うことになります。そのため、業績の良し悪しは全て加盟者の自己責任である認識が必要です。
これを前提に、フランチャイズ加盟のポイントを確認しましょう。

■起業の方法としてフランチャイズ加盟が適切か?
起業(独立)の方法として、フランチャイズ加盟をすることは有力な選択肢の1つとなります。しかし、「自身で考えた商売(ビジネスモデル)を世に送り出したい」「自身の創意工夫を発揮したい」という場合にはフランチャイズ加盟が向かないケースがほとんどでしょう。自身の事業ビジョンを実現するための手段として、フランチャイズ加盟が適切なのか?加盟そのものが目的となってしまわないよう、慎重に考える必要があります。
以下に、フランチャイズ加盟のメリット/デメリットをまとめました。これらを参考に加盟の是非を考えてください。※出典「よくわかる!フランチャイズ入門|同友館」
メリット
・事業の経験がなくても、経営が可能
・独自に開業する場合に比べて危険度が低い
・チェーンの知名度や良いイメージを活用できる
・比較的小資本で開業できるチェーンもある
・加盟者は自店の営業活動に専念できる
・安定した原材料・資材の供給を受けることができるとともに、価格メリットによる競争力の発揮が可能
・環境変化に適応した事業経営ができる
デメリット
・本部の良し悪しで加盟者の業績が左右される
・標準化されたシステムであり、店舗の独自性を出しにくい
・個々の加盟者の意見が通りにくいシステムである
・本部への依頼心が出て、経営努力や販売努力を怠る場合がある
・加盟金やロイヤルティが必要
・契約解除後は、それまでの実績を生かした事業をできない場合が多い

■その業種・業態、FC本部で良いか?
業種・業態、FC本部を選ぶ場合、第三者の意見を聞くことは大事です。しかし、「知人から勧められた」「儲かると言われた」など外部の意見から安易に判断していけません。
万人に良い業種・業態、FC本部などは存在しないのです。自身の想いや考えを中心に、自身の性格や指向を客観的に分析し、素直に「やりたい」と思う業種・業態、本部を絞り込み、選んでいくことが大事です。

■事業計画は立てたか?
事業計画は、事業という海原に乗り出す際の海図となる重要なものになります。自分の立てた目標に対して、どのようなルートで到達するのか。その計画書を準備しておくことで、不測事態や危機に対処することができます。また、短期的な計画だけでなく、中長期的な計画を立てて事業に取り組むことが重要です。

■自己資金は十分に準備できているか?
フランチャイズに限らず、ビジネスを始める際には大きな資金が必要になります。この時、間違っても全額借入で事業を開始しようなどと考えてはいけません。自己資金は開業資金の最低でも3分の1、できれば半分以上を準備しておくことが望まれます。また、事業を開始し順調に売上が上がってくるまでは一定の期間がかかります。したがって、軌道に乗るまでの生活費を自己資金の中から確保しておくことも必要です。
「事業に投入できる資金=創業時の自己資金-事業が軌道に乗るまでの生活費」と考えてください。
ビジネスを開始してから一定期間の収支の例や、シミュレーション結果を、FC本部が提示してくれるケースがあります(開業提案書などという)。その内容を参考に、自身の計画を立ててください。

■契約の重要性を認識しているか?
フランチャイズビジネスは「契約」により結ばれた継続的な取引関係です。フランチャイズ契約は、あくまでもビジネス上の契約であり、事業者間の民法上の取引契約にあたります。消費契約とは異なりクーリングオフなどはできません。本部から提示される書類の内容を十分に理解しないまま契約してしまい、後でトラブルになるケースが多く見られます。契約の重要性を認識し、本部から提示される書類を十分に確認のうえ、慎重に検討してください。

フランチャイズ加盟により個人で事業を始めた人も、その後、店舗を増加・事業を拡大し法人化も行い、複数店経営を行っている加盟者は沢山います。また、フランチャイズ加盟においては、法人による加盟も増加しています。法人とフランチャイズ加盟の関係についても、いずれふれてみたいと思います。

高木 仁
中小企業診断士
高木 仁
コラム著者のご紹介

1975年生まれ。1998年ソフトウェア開発会社に入社。開発を経験後、業務/ITコンサルタントに従事。2010年中小企業診断士登録。美容室のFC展開提案、バス運行会社やデイサービスのFC本部構築支援(マニュアル作成)などに携わる。日経FCショー講師、日経リポート執筆など、講演・執筆活動も実施。