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コラム

2014年のフランチャイズ業界を振り返って ~2015年の業界予測~

2014年のフランチャイズ業界は順調な1年であったと言えるでしょう。東日本大震災のダメージも、ようやく薄れました。

日本のフランチャイズに関する最新データである日本フランチャイズチェーン協会(JFA)の2013年度の統計データ(10月28日公表)を見ても、フランチャイズは全体的に好調に推移しています。すべての業種(小売、外食、サービス)で、チェーン数、店舗数、売上高のいずれもが前年を上回りました。

余談ですが、フランチャイズビジネスは1963年に日本にはじめて導入されたといわれています。JFAが統計を開始した1983年度以降、チェーン数、店舗数、売上高は、ほぼ一貫して増加しました。その間、日本経済はオイルショックや円高不況、バブルの崩壊、デフレといった幾多の危機に見舞われましたが、フランチャイズは異次元の世界のように成長を続けました。フランチャイズ売上の1983年度から2013年度までの平均伸び率を計算してみると、なんと6.6%になります。一方、この間の日本の名目GDPの平均成長率は2.2%にすぎません。つまり、フランチャイズは日本経済全体の3倍のスピードで成長したということになります。

私見ですが、フランチャイズの伸び率は低下するものの、今後もこうした傾向が続くものと考えています。

 

それでは2014年のフランチャイズ業界を振り返ってみましょう。

小売業では、コンビニの動向に目が離せません。大手3社(セブンイレブン、ローソン、ファミリーマート)を中心に、コンビニ各社が新規出店を加速させたため、日本国内のコンビニ店舗数が初めて5万店を超えました。ところが、既存店ベースでみると、売上高は4月の消費税アップ以降マイナスが続いていて、手放しで楽観ムードに浸るわけにはいかないでしょう。
ここ数年の傾向として、セブンイレブン、ローソン、ファミリーマートの大手3社とそれ以下との格差が目立っていました。ところが、2014年は、セブンイレブンの一人勝ちという状況です。

最近のセブンイレブンは、総菜や食パンなどのPB商品「セブンプレミアム」が好調であるほか、100円の挽きたてコーヒーが予想を上回る実績をあげています。他のコンビニチェーンが苦戦する中、セブンイレブンの既存店ベースでの売上は、2014年11月まで28ヵ月連続でプラス(昨年同月比)を維持しています。

セブンイレブンは、これまでの空白地帯であった高知県に2015年春、同じく青森県に2015年夏を目途に進出します。残る空白地帯は鳥取と沖縄の二県のみで、セブンイレブンの全都道府県制覇も見えてきました。2017年度にはコンビニで初めて国内店舗数が2万店を超える見通しです。まさに、「セブン強し」というところでしょうか。

対照的なのがファミリーマートで、第2四半期決算(2014年9月期)では営業利益が昨対で大きく減少しました。このところの積極的な出店計画が裏目に出たようで、今後は出店する店舗の立地評価を厳格化するなど出店計画の見直しを迫られそうです。

これまで成長を牽引してきた新浪氏がサントリーホールディング社長に転身したローソンも、楽観は許されません。ローソンは、ローソン本体のほかに女性客をメインターゲットとしたナチュラルローソン、価格訴求のローソンストア100の3業態のコンビニを展開し、多様なニーズに対応しようとしてきました。ところが、ローソン本体以外の業態は店舗数が減っているのが実情で、戦略の見直しが必要になるかもしれません。ローソンは2014年10月にスーパーマーケットの成城石井の買収を発表しました。品揃えの豊富さで女性客層から断トツの人気を誇る成城石井の惣菜やデザートをローソンに導入することで、セブンイレブンを追撃したいという意図が感じられます。

 

次いで外食業です。日本フードサービス協会よると外食産業の売上規模は2012年、2013年と2年連続して前年対比でプラスとなりました。ところが、2014年の出だしは堅調に推移したものの、4月の消費税アップと夏の悪天候の影響もあり、6月以降は昨対でマイナスに転じています。外食業フランチャイズについても同様の傾向にあると考えられ、引き続き厳しい状況が続いているといっていいでしょう。

今年の象徴的なニュースとしては、マクドナルドの低迷があります。7月に仕入れ先だった中国の食肉加工会社で期限切れ鶏肉使用が発覚して以降、売上高は低迷したままです。マック全店約3100店舗の約7割を占めるフランチャイズ店の経営悪化も懸念されるところです。マック本部では、加盟店オーナーや利用客の声を吸い上げて、難局を打開しようと試みていますが、未だに目に見えた効果は上がっていないようです。11月の既存店売上高は前年同月比12.3%減と、鶏肉問題が発覚して以降、5カ月連続の2ケタ減。カサノバ社長の手腕を疑問視する声も上がっています。

為替相場が円安にシフトするなかで、外食業フランチャイズの経営にも影響を与えています。デフレの象徴だった牛丼各社が値上げに踏み切ったことも話題となりました。松屋が290円の定番牛丼を廃止し、プレミアム牛丼380円を発売しました。実質的に30%の値上げです。これに追随するように、吉野家も300円の牛丼を380円に値上げしました。食材の調達を海外に依存するチェーンにとっては、厳しい状況が続きそうです。

年末になって米国5位のハンバーガーチェーン「カールス・ジュニア」が20年ぶりに日本に再上陸するというニュースが飛び込んできました。当然、フランチャイズ展開を視野に入れているはずです。「カールス・ジュニア」は、米国でプレミアムバーガーとしてそのクオリティーに対する評価が高いファストフードチェーンです。このところ、消費者にとって魅力的な業態が少ない外食業フランチャイズにはエポック的ニュースと言えるかもしれません。

 

サービス業で注目されるのが、学童保育が新たな事業分野として注目を集めた点です。子育て支援は政府の重点政策でもあり、国のバックアップも期待できます。少子化の影響と競争の激化によってこれまで堅調であった個別指導型の学習塾に陰りが見えるなか、複数の大手学習塾チェーンが学童保育分野へ参入しています。また、異分野からの参入や既存事業と併設することによってシナジー効果を求めた新業態も続々と登場しています。ここしばらくは、学童保育がサービス業フランチャイズの新しい分野として脚光を浴びるものと考えられます。

2015年4月の介護保険法改正を前にした介護関連フランチャイズの動向も注目されます。特に、利益率が高く施設数が急増したデイサービス事業者にとって、厳しい内容の改正が予想されています。デイサービスフランチャイズを展開する各社は、小規模から通常規模への切り替え、医療保険の対象となる出張マッサージを組み合わせた新業態の開発、関連性がある家事代行業務に進出するなど必死の生き残り策を講じています。

そんな中、デイサービスフランチャイズの最大手茶話本舗の買収の話題は衝撃的でした。この買収に関して、どうにも納得できない点が2つあります。まずは、茶話本舗の運営母体である日本介護福祉グループ(JCG)の財務体質が脆弱で、オーナーである藤田氏によると借入残高が借入できる上限に近づいていた(FRANJA2015年1月号)ということ。一般論ですが、フランチャイズは原価ゼロのノウハウという商品を売る商売です。成長途上の本部の経営が苦しいというのならわかりますが、800近い拠点を持つ茶話本舗の財務状況が厳しいというのはちょっと信じられないことです。公表できないような財務悪化要因があるのではと勘繰りたくなってしまします。次は、買い手がゲームセンターやパチンコ店を運営する会社であるということ。介護フランチャイズは通常のフランチャイズ以上に社会的責任が求められることは間違いありません。風営法の対象業種となる事業を展開する企業が、介護事業に参入することに違和感を覚えずにはいられません。

 

さて、2015年のフランチャイズ業界ですが、2014年以上に堅調に推移するという楽観的な展望を描いています。伸びる業種は何かと言えば、やはりサービス業でしょう。日本経済の中で、伸び代が一番大きいのは誰が考えてもサービス業です。

ただ、最近のフランチャイズ業界を身近で見ていると、消費者にとって本当に買いたい商品やサービスを提供する革新的な業態が少ないように感じてなりません。2015年は、フランチャイズ業界に消費者が真に欲する商品やサービスを提供するニューカマーが登場し、大ブレイクすることを願ってやみません。

伊藤 恭
中小企業診断士
伊藤 恭
コラム著者のご紹介

成蹊大学経済学部卒業、イベント会社社長を経てFCコンサルタントとして独立。㈳東京都中小企業診断士協会フランチャイズ研究会会長、日本フランチャイズチェーン協会フランチャイズ相談室相談員等を歴任。豊富なフランチャイズ本部構築実績あり。日本経済新聞社主催のFCショー等での講演、FC専門誌・専門書の執筆多数。

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