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【最新FCトレンド|飲食業】2018年注目の新業態(2018.1.31)

2018年,外食業界にとっては労務問題,値上問題が喫緊の課題であると言っても過言ではないでしょう。とうはいうものの,後ろ向きな話題ではなく1月は新春に相応しく,これまでの業界トレンドを踏まえて本年度注目される新業態を占ってみたいと思います。

昨今は肉ブーム。昨年末は幸楽苑HDが「いきなり!ステーキ」にFC加盟し話題となりました。ペッパーフードサービスは2018年,「いきなり!ステーキ」のロードサイド型店舗を140店出店し,国内出店数は合わせて前年比3倍の200店としています(日経MJ:2018/1/22:P13)。柿安本店は,2017年4月から中京地区を中心に展開してきた「柿安Meat Express」を関東に初出店します。「柿安Meat Express」は10坪程度で出店できるフードコート型店舗で,1,000円以下で食べられる「牛しぐれ丼」や「ローストビーフ丼」が人気の新業態です(日経MJ:2018/1/31:P13)。ドトール・日レスHDは,好調な肉業態「腰塚」の百貨店や商業施設内の出店を加速させます。同社の大林会長は「黒毛和牛は消費者に味の違いを訴えやすく、多少高くても売れる。高齢化が進む中、少量で高級でもおいしいものを求めるシニア世代も今後は増えるだろう」とコメントしています(日経MJ:2018/1/10:P13)。

また,食主体,シンプルオペレーション,低価格の業態も元気です。アスラポート・ダイニングは,スタッフひとりで運営できる(いわゆるワンオペ)セルフサービス式のラーメン店「辛味噌麺かのと」の展開を始めます。同社は同業態を,2018年には都内を中心に10店舗まで出店する予定です(日経MJ:2018/1/15:P13)。すかいらーくは,既存のバーミヤンよりも小規模で値ごろ感のある「ばーみやん軒」を用賀駅前に出店しました。フードメニューは基本的にバーミヤンと同じですが,餃子やラーメンなどの低価格なメニューを中心にラインナップし,値ごろ感を演出しています(日経MJ:2018/1/31:P13)。居酒屋を中心に120店舗を展開するファイブグループは,スパゲッティナポリタン専門店「パンチョ」の出店を加速します。2018年は6店舗程度出店,その後は10店舗程度出店していく計画です(日経MJ:2018/1/10:P13)。

そして業態開発のもうひとつのキーワードは「機動力」。デリバリーシステムまではいかないまでも,いかにテイクアウト需要を獲得するかが利益率を左右すると,筆者は考えています。鶏唐揚げ,豚かつ,天ぷらなど,テイクアウトが効く揚げ物業態は店舗数が伸びています。和食店をチェーン展開する長野の王滝が寿司店を改装して豚かつ業態を開店します(日経MJ:2018/1/15:P13)。串カツ田中は,関東圏から地方にも出店エリアを拡げ,2018年11月期の新店を55店(前年比140%)程度と見込んでいます(日経MJ:2018/1/29:P15)。

「肉」「シンプルオペレーション」「機動力」この3つのキーワードで,2018年の業態トレンドをウォッチしていきたいと思っています。

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山岡 雄己
中小企業診断士
山岡 雄己
コラム著者のご紹介

1965年松山市生まれ。京都大学文学部卒。サントリー宣伝部を経て2002年独立。フードビジネスに強いFCコンサルタント。経営戦略策定からプロトタイプ開発、FCパッケージ開発まで、広範に本部構築を支援する。ぐるなび大学、日経FCショー講師、日経リポート執筆等、講演執筆多数。法政大学経営大学院 兼任講師。