【最新FCトレンド|サービス業】多様化進むサービス業フランチャイズ。チェーン数20年で2.6倍に。しかし。。。(2017.4.26)
ここ数年、新たな社会的ニーズの出現やICT技術の発展などにより、多様なサービスが次々と産まれてきており、成長の「伸びしろ」が大きい市場です。(一社)日本フランチャイズチェーン協会が発表している統計データをもとに、2015年度と20年前の1995年度の状況を比較しました。サービス業のチェーン数は、この20年で2.6倍以上も増加していることがわかります。
※(一社)日本フランチャイズチェーン協会【フランチャイズチェーン統計調査】より編集
しかし、ビジネスモデルとしての優劣や提供されるサービス品質を見てみると、玉石混交は否めなく、必ずしも成功している事業が多いわけではありません。特にサービスは品質や価値を形にすることが難しく、新たなサービスが顧客へ浸透するまで時間もかかるため、ブランド力が不足している新興のFC本部の場合は、事業の立ち上げに苦労するケースも見られます。
東京商工リサーチによると、2016年度の全国企業倒産(負債総額1,000万円以上)は8,381件、前年比3.4%減(366件減)。8年連続で前年を下回り、1990年(6,468件)以来の低水準となりました。その一方、飲食業を含む「サービス業ほか」の倒産件数は、昨年と比較して5.8%増となっています。特に福祉・介護事業では67.1%増(107件)と大幅な増加をしています。
2014年ごろまで、短時間型のデイサービスのフランチャイズが乱立し、同業他社との競走が激化。しかし、質の低い介護事業者が蔓延し始め、これを問題視した厚生労働省は2015年春に規制を強化。さらに、要支援者の介護報酬額が大幅に削減されました。加えて、介護職員が不足するなか、離職防止のための人件費アップなども経営を圧迫することになりました。
その後、急拡大した市場は「放課後等デイサービス」です。障害のある就学児向けの学童保育のようなサービスですが、2012年に児童福祉法が改正され、民間の参入が可能になり、その後、拡大の一途をたどっています。しかし、これでも悪質な施設が出てきており、2017年から事業運営の条件を厳格化しました。今後の市場動向は不透明と言わざるをえないでしょう。
これらは、国の政策・法的規制に依存を受けるビジネスの典型例ではありますが、そもそも、フランチャイズビジネスでは、高い経営理念のもとで、社会的課題を解決できる意義あるビジネスモデルを確立し改革し続け、提供するサービス品質を高め続けなければなりません。ただ単に、今、儲かりそうだからという理由だけで参入するような本部はいずれ淘汰されるでしょう。フランチャイズビジネスでは、多くの加盟者を募るものであり、その影響は社会的な問題にまで発展することもあります。
そして、先に述べた倒産件数の減少。これは、2009年に中小企業金融円滑化法の施行以来、金融機関が融資に対して柔軟になってきたことが背景にあり、手放しでは喜べない状況です。
多様なサービスが次々と産まれてきており、成長の「伸びしろ」は大きいサービス業ではありますが、今一度、足元のビジネスをしっかりと見つめ直す時期ではないでしょか。
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