日本フランチャイズ研究協会

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「法定開示書面」の大切さを理解しよう~その②~

本部向けコラム 

2024年05月30日

今回は、法定開示書面に記載されて情報をどうやって活用するかについて、例をあげて考えてみましょう。

貴方がダメなチェーンに加盟してしまうと、もうこれは一大事です。多分、貴方は大変な苦労をすることになるでしょう。フランチャイズで成功するためには、しっかりしたフランチャイズに加盟することが何より大切なのです。

実は、法定開示書面には、本部の優劣を測るために大切な情報が記載されています。代表的なのは、「チェーン概要」の中の「直近の3事業年度における加盟者の店舗の数の推移」です。この部分は、以下の4項目で構成されています。

①各事業年度末の加盟者の店舗の数

②各事業年度内の加盟した新規出店数

③各事業年度内に契約解除された店舗数

④各事業年度内に契約更新された店舗数及び更新されなかった店舗数

私はこれらの数値を一定の基準で見るだけで、そのフランチャイズの優劣は凡そ見当が付くものと思っています。

 

先ずポイントになるのが、①の加盟者の店舗数です。

エンドユーザーの支持を受けていて1店舗当たりの売上が増えているようなフランチャイズがあったとします。当然、そのフランチャイズに加盟しようとする人が増えるはずです。結果として、店舗数が増えていくものと考えられます。

店舗数が減っていれば、この反対のことが起こっていると言えるでしょう。このように考えると、加盟者の店舗数の増減は本部の実力を写す鏡ということができます。

ただ、加盟者の店舗数の増減だけではわからないこともあります。そこでチェックしてほしいのが、②の新規出店数と③の契約解除された店舗数です。たとえ①の店舗数が増えていても、③の契約解除された店舗数が多ければ、そのフランチャイズのどこかに問題がある可能性は高いでしょう。

反対に、①の店舗数が横ばいであったとしても、③の契約解除された店舗数が少なければ、加盟店の経営は安定しているとも考えられます。

最後に、④の契約更新された店舗数及び更新されなかった店舗数も注目です。フランチャイズは契約の期間が決められています。契約の期間が満了しようとするとき、加盟者の店舗の経営が順調であるなら、契約を更新して事業を続けようと考えるはずです。反対に、契約を更新しない店舗が多い場合は、そのフランチャイズに何らかの不満があって契約を更新しない加盟者が多かったということにもなるでしょう。

 

このように、法定開示書面の一部の数字を眺めるだけでいろんなことがわかってきます。また、法定開示書面にはこの他にも重要な情報が満載されています。

伊藤 恭

シニアコンサルタント

成蹊大学経済学部卒業、イベント会社社長を経てFCコンサルタントとして独立。㈳東京都中小企業診断士協会フランチャイズ研究会会長、日本フランチャイズチェーン協会フランチャイズ相談室相談員等を歴任。豊富なフランチャイズ本部構築実績あり。日本経済新聞社主催のFCショー等での講演、FC専門誌・専門書の執筆多数。

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