日本フランチャイズ研究協会

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フランチャイズ本部構築の要件

本部向けコラム 

2024年05月30日

れまでに多くのフランチャイズチェーンの立上を支援してきた小職の経験から、フランチャイズチェーンを立ち上げるための前提条件について説明します。全部の要件を満たさなくてもフランチャイズ展開は可能かと思いますが、不十分なままで展開は始めると必ず躓くというのが小職の体験に基づく結論です。

 

(1)オリジナリティーはあるのか

ライバル店との差別化は絶対に必要です。コンビニを例にとると、炊き立てご飯、店内調理、充実した100円惣菜などは明らかに他チェーンとの「違い」を意識したものです。フランチャイズ展開をする事業者の中には同業他社の業態を模倣することがしばしばあります。模倣はお勧めできることではないですが、ライバルと競い合ってより良い業態にすることはエンドユーザーにとって悪いことではありません。この場合でも元祖の上を行く何かが必要になります。

 

(2)一定の市場規模はあるのか

小職はある程度の市場規模がある分野でこそフランチャイズ展開をするべきと考えます。そのそも、フランチャイズ展開の目的は加盟店の経営資源(資金や人材など)を使って事業規模を拡大し、スケールメリットを得ることにあるはず。フランチャイズ展開をしても思うようなスケールメリットを得られないのであれば、フランチャイズ展開をする意味がありません。フランチャイズ展開をしようとする市場は、最低100店舗が展開可能な市場であることが必要と考えます。

地域グルメを主力商品としてフランチャイズ展開をしようとする相談を受けることがありますが、地域グルメを全国展開することは簡単ではありません。讃岐うどん、長崎ちゃんぽん、喜多方ラーメンなどの成功例がありますがこれはレアケースです。地域グルメは特定の地域では人気を博しても、全国展開をして同様にうまく行くとは限らないのです。

 

(3)標準化・システム化は可能か

フランチャイズは一定期間(最長でも3ヵ月程度)の研修を受講することで、加盟者が本部と同様のレベルで店舗を運営できなければなりません。言い換えれば、一定期間の研修でノウハウを習得できない業態はフランチャイズには適さないと言えます。職人技が必要となる高級和食店や高級フレンチレストランにフランチャイズチェーンがないこと事がこのことの証しです。

 

(4)一定の実証期間(3-2ルール)

フランチャイズの本質は本部が開発したビジネスフォーマットをお金をもらって加盟店に売ることです。そのためには、そのビジネスフォーマットが有効であることを実証しなければなりません。どうやって実証するかですが、1店舗での成功ではとても有効性を実証したということにはなりません。たまたまということはありますし、その立地にピタッとはまったということもあるのです。やはり有効性を確認するためには、3店舗での成功が必要となるでしょう。

また、実証する期間として2年間は欲しいところです。何故2年間かというと、業態によって業績推移が異なるからです。サービス業では徐々に客を増やしていってやがて売上が損益分岐点を上回るという流れになります。外食業では開店時には客が殺到しますが、徐々に売上は下降し、一定のレベルで下げ止まり、それから安定的に推移します。或いは、季節変動や業態のライフサイクルの長さの確認ということも必要でしょう。これらを検証するには、やはり2年間は必要となります。

 

(5)業態の収益性・効率性が高い

加盟店は契約時に加盟金を支払い、契約期間中はロイヤルティを払い続きなければなりません。従って、本部が加盟店に提供するビジネスはある程度の収益性の高さが求められます。フランチャイズ展開が可能な目安ですが、償却前営業利益率がサービス業で20%以上、外食業で15%以上、小売業で10%以上は欲しいところです。

次いで、効率性の基準も考慮しなければなりません。初期投資額と年商との関係に着目すると効率性が見えてきます。例えば、初期投資額が1千万円で年商が1千万円だとすると、投下したお金が1年で1回転します。この指標を資本回転率(仮称)といい、以下の公式で計算できます。

資本回転率(回)=年商÷初期投資額

フランチャイズ展開する業態では、資本回転率2回は欲しいところです。ただし、資本回転率による評価は、業態のライフサイクル(残りの生存期間)を考慮しなければならないことは言うまでもありません。

 

(6)ある程度の資金力は必要

フランチャイズ展開は他人の経営資源を活用するのだから、資金がなくてもできると考える方がいますが、これは間違っています。フランチャイズ展開のためのシステム構築には多額の投資が必要になります。行き詰った業績をフランチャイズ展開で一気に立て直そうとするは、絶対にできません。

 

小職は、フランチャイズ展開にどのくらいの費用がかかるかと聞かれたとき、アイデア段階の構想をフランチャイズ展開するためには2~3億円、直営店での実績が十分にある場合は2~3千万円と説明します。

伊藤 恭

シニアコンサルタント

成蹊大学経済学部卒業、イベント会社社長を経てFCコンサルタントとして独立。㈳東京都中小企業診断士協会フランチャイズ研究会会長、日本フランチャイズチェーン協会フランチャイズ相談室相談員等を歴任。豊富なフランチャイズ本部構築実績あり。日本経済新聞社主催のFCショー等での講演、FC専門誌・専門書の執筆多数。

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