日本フランチャイズ研究協会

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のれん分けフランチャイズ制度の導入で成功する多店舗展開の秘訣

はじめに

フランチャイズ本部の立ち上げを検討中の皆様、ビジネスの多店舗展開をお考えなら「のれん分け制度」をご存知でしょうか。この制度は、既存の従業員や関係者に対してブランドの使用を許可し、独立を支援する仕組みです。従来のフランチャイズとは異なる形で、経営の自由度と柔軟性を提供しつつ、企業としての成長を加速させることができます。本記事では、この「のれん分け制度」の概要と活用法についてご紹介します。

 

のれん分け制度の基礎知識ついては以下の動画がわかりやすのでご参照ください。

のれん分け制度の概要

のれん分けとは?
「のれん分け」とは、長年勤務してきた従業員に対して独立を支援するために、本部の屋号や商標の使用権を与え、独立開業を支援する制度です。これは、寿司店やそば店などの日本の伝統的なビジネスモデルから発展してきましたが、現代では飲食業や美容業など、さまざまな業界で採用されています。従業員のモチベーションを高めるだけでなく、本部としてもリスクを抑えた多店舗展開が可能となります。
のれん分けの特徴
のれん分け制度には、以下の5つの支援機能が含まれています。
• 商標使用許諾:ブランド名の使用権を提供します。
• 商品取引:本部指定の原材料や商品を提供し、品質を維持します。
• 物件(店舗)開発:新規店舗の開発や既存店舗の譲渡を行います。
• 開業支援:店舗開業に必要な準備(資金調達、スタッフ教育など)を支援します。
• 運営支援:経営指導や運営ノウハウを継続的に提供します。
このような包括的なサポートにより、従業員のスムーズな独立と本部のブランド価値の維持が可能です。

のれん分け制度のメリットとデメリット

メリット
1. 低リスクでの多店舗展開
のれん分け制度を活用することで、本部としては低リスクでの多店舗展開が実現できます。従業員が独立して運営を行うため、本部の運営コストを削減しつつ店舗数を増やすことが可能です。
2. 従業員の独立支援
長年働いてきた従業員に対して、新たなキャリアパスを提供できるため、モチベーション向上や離職率の低下に寄与します。また、従業員の独立意欲を活かし、積極的にビジネス拡大が図れます。
3. ブランドの一貫性を保ちながらの成長
ブランド名の使用許諾と運営支援により、のれん分け店でも本部と同様のクオリティが維持されます。これにより、ブランドの価値が広がり、顧客からの信頼を獲得しやすくなります。
デメリット
• 初期投資の資金負担
既存店舗を譲渡する場合、設備費用や譲渡費用が発生し、独立希望者に多額の資金が必要となります。これを解決するために、本部からの資金援助や融資制度の整備が重要です。
• ブランドのリスク管理
のれん分け店の運営が本部の基準を下回ると、ブランド全体のイメージが損なわれるリスクがあります。ブランド価値を守るためには、定期的な経営指導と品質管理が必要です。

のれん分け制度を活用した多店舗展開の成功事例

成功事例:飲食チェーンA社の場合
飲食チェーンA社では、のれん分け制度を活用し、既存の直営店舗を従業員に事業譲渡する形で多店舗展開を実現しました。この制度を通じて、従業員が店舗オーナーとしての責任を持つことで、店舗の売上が向上し、本部としても安定的な収益を確保できました。
成功の秘訣
1. 十分な事前研修と店長経験の提供
独立を希望する従業員に対して、店長経験を積ませ、実戦的な経営スキルを身につけさせました。これにより、独立後もスムーズな店舗運営が可能となりました。
2. 資金調達のサポート
低利子の融資制度や社内預金制度を活用し、従業員が開業資金を確保できるように支援しました。これにより、独立のハードルを下げ、成功率を向上させました。

のれん分けとフランチャイズの違い

項目 のれん分け フランチャイズ
経営自由度 独立性が高い 本部の厳格なルールに従う
支援内容 ブランド使用・開業支援が中心 包括的な経営指導・マーケティング支援
初期費用 柔軟に設定可能 一定の加盟金やロイヤルティが必要
リスク 従業員に分散 本部が多くを負担
のれん分け制度は、既存の従業員を活かしながら柔軟に拡大できるため、中長期的な成長戦略に最適です。一方、フランチャイズは、厳格な基準とサポートを提供しながら、スピーディーな多店舗展開が可能です。貴社のビジネスモデルに合った制度を選ぶことで、最適な成長が見込めます。

具体的なのれん分け制度の進め方

のれん分け制度を成功させるためには、明確なプロセスと準備が必要です。以下に、具体的な進め方を段階的に解説します。

1. ビジョンと方針の明確化
まずは、のれん分け制度を導入する目的やビジョンを明確にします。企業としての理念やミッションを定義し、のれん分け店とも共有できるよう文書化しておくことが重要です。これにより、本部と独立者の間で価値観のズレが生じるのを防ぎます。

2. 独立候補者の選定と教育
次に、のれん分けの候補者を選びます。選定基準としては、勤務年数やマネジメントスキル、店舗運営経験などが考慮されます。候補者には、十分な店長経験を積ませ、経営に必要な知識を身につけさせるための研修プログラムを実施します。これにより、独立後も安定した店舗運営が期待できます。

3. 契約内容の設定
のれん分け制度の運用にあたっては、商標使用許諾や商品の取引条件、運営支援の範囲など、具体的な契約内容を明文化します。契約書にはロイヤルティや支援費用などの金銭的条件も盛り込み、双方が納得できる内容にすることが重要です。また、口約束ではなく、正式な契約書を交わすことでトラブルを防ぎます。

4. 資金調達の支援
のれん分けで独立する際、多くの従業員にとって課題となるのが資金調達です。本部としては、低利融資の提供や社内預金制度の導入、融資に対する保証人制度などを活用し、独立希望者をサポートします。これにより、独立へのハードルを下げることが可能です。

5. 開業支援と継続的なサポート
開業後も、のれん分け店の成功を支援するために、経営指導や販促活動の支援を継続的に行います。スーパーバイザーの派遣や定期的な経営チェックを通じて、店舗運営の改善点をアドバイスし、のれん分け店の成長をサポートします。

まとめ:のれん分け制度での成功を目指すために

のれん分け制度は、フランチャイズ本部の構築を目指す企業にとって、従業員の独立支援とブランドの拡大を両立するための強力な手段です。以下のポイントを押さえて、貴社の成長に活用してください。
• 理念とビジョンの共有
のれん分け店との信頼関係を築くため、共通のビジョンやミッションを明確に共有しましょう。
• 開業支援の充実
資金調達や研修制度を整備し、独立希望者の成功をサポートします。
• 継続的な運営支援
定期的な経営指導を行い、のれん分け店のパフォーマンスを向上させることで、チェーン全体の成長を支えます。
貴社がのれん分け制度を導入することで、従業員のモチベーションを高め、安定した多店舗展開を実現できるはずです。成功のための第一歩として、ぜひご検討ください。

 

さらに詳細な内容をお知りになりたい方は、フランチャイズ研究機構までお気軽にお問い合わせください。

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