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海外はチャンスにあふれている ~大きなリスクを伴わないフランチャイズ方式による海外展開のすすめ~

海外旅行に行ったことがある方は、日本の外食店は安くて美味しいということを実感するでしょう。しかも、店は衛生的でサービスも良いというおまけ付き。よほどの途上国でない限り、ランチをワンコイン(500円)で食べられることはほとんどありません。では、なぜ、日本の外食店は安くて品質の高い商品を提供するのでしょうか。日本の外食業の経営者がボランティア精神に溢れていて、薄利に満足しているからではありません。

日本の外食事業者は厳しい競争にさらされている

日本の外食業の特徴の一つは過小過多、つまり規模の小さな店がひしめき合っていていることです。東京の人口千人当たりのレストラン数(和食や中華等も含む)は、観光客であふれるパリやミラノを押さえて堂々の世界第一位(福岡市調べ)なのです。言い方を代えると、日本の外食店は外食店同士の厳しい競争にさらされているのです。

また、中食の躍進が外食市場を侵食しています。近年の日本は、高齢化や共働き世帯の増加など社会構造の変化を背景に消費者ニーズは多様化しています。そのため、弁当や総菜等を取扱う中食市場は拡大基調にあり、業態を超えた競合が厳しさを増しています。

そうした中、外食業の経営に重くのしかかるのが労働力人口の減少による人件費は高騰です。新興国の需要増や天候不順の影響で一部の食材の価格も上昇しています。

日本の外食業は、小さくなったπを奪い合い、コストが増えても簡単には価格に転嫁できない構造ができてしまっているのです。

新型コロナウィルスの影響は甚大。しかし海外にビジネスチャンスあり

そんな折、新型コロナウィルスは世界中に感染が広がり、日本経済にも甚大な影響を及ぼしています。日本の外食業もその影響をもろに被っており、未来の光明とも見えたインバウンド需要は消え失せました。国の支援策にもかかわらず外食業の倒産件数は急増しています。日本の外食業を取り巻く経営環境は厳しさを増し、外食業にとって日本はなんとも商売がやりにくい国になっているのです。

海外を見渡すと、先進国といわれる国では美味しい食事やサービスに対しては一定の金額を支払うのは当たり前という文化が根付いています。牛丼280円というような不毛な価格競争はあり得ないのです。また、成長を続ける発展途上国では国民の所得水準が高まり、いわゆる中間層の人口が飛躍的に増えています。中間層の増加は、消費拡大をけん引し、外食への支出を拡大させます。つまり、海外に目を転じれば、日本の外食事業者にとって大きなビジネスチャンスが転がっているのです。

こうしたことは外食業に限ったことではなく、サービス業や小売業でも同様の傾向にあります。東京の美容室でのカット料金は海外の主要都市に比べてかなり安く、それでいて美容師の技術は海外の美容師のそれと比較して高いと言われています。百貨店やスーパー、コンビニでも粗利を取りやすいのは海外店舗なのです。

海外進出に復活の活路を求める「グルメ杵屋」

大阪に本社を置く大手外食チェーン企業であるグルメ杵屋をご存じの方も多いでしょう。同社の主力業態である「そじ坊」や「うどん杵屋」を利用したことがある方もたくさんいるものと思います。同社の2020年3月期の連結決算では、営業利益が▲251百万円、不採算店の閉鎖で特別損失がかさみ純利益は▲1,089百万円となり、過去に例のない大赤字となりました。もちろん新型コロナウィルスの影響は大きいものの、市場環境の変化への対応の遅れがこうした状況を招いたものと考えられます。グルメ杵屋では、7月以降も不採算店舗の閉店に取り組んでおり、今期も蕎麦やうどん店を中心に直営の80店程度を順次、閉店するとのことです。これは、フランチャイズ店を含む全443店の約2割に相当します。まさに身を切る改革といえそうです。

今、グルメ杵屋は海外への進出に復活の活路を求めています。2020年12月にロンドンでセルフ式うどん店「杵屋麦丸」の直営1号店を出店しました。客単価は日本の2倍の7.4ポンド(約1030円)を見込んでいるそうです。海外なら、日本国内のような度を過ぎた価格競争に巻き込まれなくて済むのです。将来はフランチャイズ方式で多店舗化を目指すとのこと。グルメ杵屋は米国と香港で合計5店をフランチャイズ展開していますが、今後はフランチャイズ方式での海外展開に積極的に取り組んでいくようです。英国を足がかりに、欧州での出店拡大を目指す考えのようですし、身近なアジア地域への進出も視野に入れています。

 


日本の経営者は、多額の投資が必要なうえに失敗リスクも高いことから海外展開にしり込みをしている方も多いようです。今回ご紹介する「フランチャイズ方式による海外展開ガイド」では、まとまった金額の投資が不要な海外展開の方法を提案しています。和食や日本の外食店は海外から高い評価を受けています。おもてなしの精神に富んだサービス業やきめ細かい売り場づくりが得意な小売業でも同様です。海外市場にチャレンジする価値は十分にあるのです。

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コラム著者のご紹介

誠実にフランチャイズビジネスをご指導するプロフェッショナル集団。 (社)東京都中小企業診断士協会フランチャイズ研究会に所属する中小企業診断士およびフランチャイズを専門とする弁護士・税理士・社会保険労務士などで構成されます。 フランチャイズ本部設立を計画中の法人の方々、フランチャイズ加盟を目指す法人・個人の方々に、懇切丁寧にコンサルティング&アドバイスを行います。