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【FCトレンドコラム】危ないチェーンの見分け方 ~その1~

チェーンの善し悪しを見る方法はいろいろあるでしょう。例えば、法定開示書面に書かれている本部の決算書、店舗数や売上の増減、契約更新率など。すでにそのチェーンに加盟しているオーナーさんの生の声なんていうのも判断材料になります。でも、加盟希望者が法定開示書面を見せてもらえるのは結構先の話です。それに、こういう数字をどういう基準で見るかは難しい。加盟店さんの店を訪問したりするのは、ある程度検討するチェーンを絞り込んだ後にやるべきことでしょう。

もっと早い段階で、危ないチェーンを見極められればいいですね。そこで、フランチャイズ加盟を希望される方がたいてい経験する加盟説明会でのチェックポイントを伝授することにしましょう。

結論から言うと、加盟説明会に参加した人を何とか加盟させてやろうという姿勢が見え隠れするチェーンはやめた方がいいでしょう。こんなことをいうと、「どんなチェーンだって加盟させようと一生懸命になってるんじゃないの?」と思う方も多いと思います。でも、ちゃんとしたフランチャイズ本部の立場からすると、「加盟したい人」より「加盟させたい人」なんです。真っ当なチェーンは、説明会に参加している人を何とか誘い込もうとか、金さえ持っていれば誰でも加盟させようとは考えないのです。

それより、この人がチェーンに加わってくれたらしっかり店を運営してくれるだろうかを見極めることが大切なのです。ですから、甘い誘い文句を並べたりはしません。逆に、加盟してうまくいかなかった人の例などを紹介して参加者の本気度をチェックしたりします。

加盟説明会で、たとえば月収100万円とか、2年以内で投下資本回収が可能なんて説明会参加者が飛びつきそうなことを言われたら、これは疑ってかかったほうがいいでしょう。本部が言っていることは嘘じゃないかもしれないですが、それはたまたまうまくいった例。決して平均値ではないですよね。だって、そんなに儲かる商売だったら、加盟者にやらせるより、自分でやったほうがいいでしょう。

それと、今後加盟金が値上げされるとか、今回だけ特別の加盟条件にするとか参加者の気持ちをくすぐるようなことを言ってくることもよくあります。今なら、抜群の物件を紹介できるなんていうのもありますね。これって、危ないチェーンの常套手段なのです。こういうような加盟を急がせるようなことを言われたら、その本部は信用しない方がいいでしょう。

(フランチャイズ展開を始めて間もない)アーリーステージのチェーンの経営は結構厳しいことが多いです。システム作りや加盟店開発のためのコストがかさむからです。そんな状況で加盟契約を1件とれば、加盟金や保証金が入ってくる。店の工事や備品の調達を指定業者にやらせる場合だと、業者からのバックマージンも期待できます。アーリーステージのチェーンにとって、1件の契約はのどから手が出るほど欲しいものなのです。ですから、加盟店開発の担当者の説明はついつい営業トークになってしまいます。皆さんも、このあたりの事情を十分理解してくださいね。フランチャイズ本部はボランティアではありませんし、善人の集まりではないのです。

伊藤 恭
中小企業診断士
伊藤 恭
コラム著者のご紹介

成蹊大学経済学部卒業、イベント会社社長を経てFCコンサルタントとして独立。㈳東京都中小企業診断士協会フランチャイズ研究会会長、日本フランチャイズチェーン協会フランチャイズ相談室相談員等を歴任。豊富なフランチャイズ本部構築実績あり。日本経済新聞社主催のFCショー等での講演、FC専門誌・専門書の執筆多数。