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【最新FCトレンド|小売業】CVSの11月の動き

JFAが12月20日(水)に発表した11月度のコンビニ統計調査月報では、店内調理品等のカウンター商材や中食等が引き続き好調に推移しており、特に11月は平均気温が低かったため、麺類・中華まん等の温かい商品の売れ行きが良かったことから、全店・既存店ともに客単価については前年を上回りました。一方、既存店の来店客数は21か月連続で減少しており、既存店売上高も6か月連続のマイナスとなっています。

そのような状況の中、11月のコンビニ各社の動向を拾い上げると、客数アップに関する取り組みで大きい動きがありました。ひとつが「セブンイレブンの自転車シェアサービスの拡大」、もうひとつが「ファミリーマートのコインランドリー事業への参入」です。

セブンの場合は、ソフトバンク系のシェアサービス「ハローサイクリング」と提携し、2018年度末までに1,000店舗に自転車5,000台を配置する計画となっています。自店の駐車場をシェアサービスの拠点に活用し、集客増の効果を狙うものです。

ファミマの場合は、駐車場がある店舗を中心にコインランドリー併設店舗を2019年度末までに500店展開し、改装や機器導入に100億円強を投じる計画となっています。コインランドリー市場は洗濯時間を減らしたい共働き夫婦などの利用が増え、この10年で3割拡大しています。勢いのある他業態を併設することで、来店客数のアップにつなげる考えです。

これまでコンビニ各社は、店舗フォーマットを大型化し、店舗内に多機能を詰め込むことで来店客数のアップに努めてきました。マルチ端末による各種サービスの提供、店内調理品の提供、イートインスペースの確保などです。セブンの「次世代型店舗」は、そのような動きの象徴とも言えますが、それでも将来の市場動向を考えると、減少する来店客数を止めることは難しいと判断されるため、いよいよ「外部複合化」にも取り組む必要があるということです。今後、コンビニ各社がどのような他業態との複合化に取り組み、われわれに来店(する)理由を提案してくるか、注目したいと思います。

セブン‐イレブン
  • 62か月続いた連続増収がストップ(日経 2017/11/9 p17)
  • アプリ開発で顧客の好み把握(日経 2017/11/10 p14)
  • 次世代型店舗の導入急ぎ 再スタート(日経MJ 2017/11/10 p15)
  • 自転車シェアサービス拡大(日本経済新聞;2017/11/22:P17)
  • セブンとアスクル生鮮食品を翌日宅配(日経MJ;2017/11/29:P19)

 

ファミリーマート
  • おにぎりを充実 成形の仕方を改善、具沢山商品も増やす(日経MJ:2017/11/12:P15)
  • 店員を本社研修でサポート(日経MJ:2017/11/15:P15)
  • 「忖度」商品を開発(日経MJ:2017/11/15:P15)
  • コインランドリーに参入 2019年度末までに500店舗展開へ(日経電子版;2017/11/23)

 

ローソン
  • ICチップでクレジットカード決済(日経:2017/11/08:P17)
  • CVSベイエリアのコンビニ事業取得へ(日経電子版:2017/11/22)
  • 自社生産米でおにぎり(日経MJ:2017/11/27:P19)
その他・全般
  • POSの「年代・性別」入力、コンビニ各社で対応分かれる(日経MJ:2017/11/03:P1)
  • コンビニ3社 10月既存店売上高 減収(日経:2017/11/11:P13)
  • ミニストップ、燻製の骨付きチキン(日経MJ:2017/11/17:P15)
  • ミニストップ、2018年から成人雑誌の販売を中止へ(日経電子版:2017/11/23)
  • コンビニ試練のとき、客数停滞の打開策は(日経:2017/11/25:P13)
  • ニューデイズなどJR東海系コンビニ、セルフレジ2割拡大(日経MJ:2017/11/29:P19)
西野 公晴
中小企業診断士
西野 公晴
コラム著者のご紹介

1960年三重県伊勢市生まれ。東京学芸大学教育学部卒。株式会社インテージを経て1993年独立。「正しいことを分かりやすく伝える、良い点を最大限伸ばす」をモットーに、FC本部の構築をはじめ、商業施設の立地診断・出店戦略策定・事業計画の立案を指導。 (社)日本フランチャイズチェーン協会SV学校講師、同研究会員。